医者の良心

患者を救うことだけのためにすべてをかけた医者の良心のつぶやきです

薬を減らす医者を探せるか?

薬を減らせない理由

 医者は医学ガイドラインに沿って治療をします。なぜならば、ガイドライン以外の治療を行うと、それによって患者に生じた不具合の責任を負うからです。ガイドライン通りなら、治療で患者が死に至っても免責されます。
 薬を減らすことはガイドラインの枠外であるため、減らした後に患者に不具合が起これば、それが「薬を減らしたことと無関係」であったとしても、訴追される可能性があります。薬を処方しないことが義務違反になるからです。
 医者はガイドラインによってガチガチに縛られています。束縛から逃れたいと皆思っていますが、逃れると免責されなくなります。
 そもそも医師免許とは患者に物理的な危害を加えても免責されることが売りです。ガイドラインを無視して薬を減らすことはその免責を捨てることになります。

薬を減らすことは自己犠牲

 医者にとって薬を減らしていくことにメリットは全くありません。減らせば患者の症状悪化の責任をとらなければならなくなります。もともと、病気は患者が不摂生するから生じたわけで、その不摂生の責任を取らされるって担当医としてあり得ますか? そんな理不尽な事に自ら飛び込む医者がこの世の中にいるでしょうか?

世紀末の天使

 「薬を減らしほしい」と患者が担当医に頭を下げて頼み込んだとしてもそれを実行してくれる医者はいません。理由は先ほど述べたとおりです。その中で「薬を減らしなさい」とアドバイスできる医者がいたとしたら、それは地獄の中の天使です。患者を我が家族のように考えている医者です。おそらくそんな奇特なことができる医者は1000人に一人ですから信じてよいでしょう。逆に言うと、その天使のような医者は「自分の人生を犠牲にしてもよいくらい、薬を減らすことにメリットがある」ことを知っているということ。
 さらに逆を言えば、薬を飲み続けることは「人生が破壊されるほどに害がある」ことを知っているということ。
 薬を飲み続けることによる害は医学ガイドラインに書かれていないことであり、自身の医者としての正義感があったから気づいたことです。害は致命傷になるほどのものなのか? 私たちはそれを知るすべがないというのに、害に気づくということは…その医者は天使です。
 ただ言えること・・・それは「薬を減らしなさい」と医者が患者に言うことは、大変大きな自己犠牲になる・・・ならばそれは大変覚悟のいることでありいたずらに気軽に言っているわけではない・・・だからそれは真実に近いと考えてほしいということです。

患者の自己責任

 薬を減らすと血液データは悪化するかもしれません。そこで患者さんにはデータを改善させるような生活習慣の変革が必要になります。これは今まで自身にしみついてきた日常を変えることを意味するので簡単なことではありません。そこに挑戦するのは患者さんです。
 つまり薬を減らしたいなら、その結果生ずる一見悪しきデータは自分の責任としなければなりません。そのルールが守れないなら「薬を減らしてほしい」と言わない方がよいでしょう。

良い医者は患者を選別する

 医者は「自己責任をとる患者」にしか「ガイドライン以外の治療」を提案できません。つまり減薬をする場合は「環境を変える努力ができる者」を選別します。
 もしも、あなたが医者から減薬の提案を受けたのであれば、それはあなたに自己責任力があると思われた証拠です。
 しかしおごってはいけません。自己責任力は常に測られていて、あなたが何でもかんでも医者任せにする言動や態度をとれば即座に減薬指導は終了となります。

治療と潜在能力を引き出すこと

 治療とは人の自然治癒力を引き出す行為であり、それができる医者が最高の医者です。しかし、自然治癒力を引き出すには患者側の自己変革が必須であるため、医者から見れば治療とは人を選ぶ行為となり、患者から見れば治療とは受け身ではなく能動的になることを意味します。
 患者は常にその最高の医者に選ばれる行動をとっておく必要があり、その素晴らしい医者との出会いはあなたの人生にとって「変革の開始地点」でしかありません。変革への努力をするのはあなたであり、努力を止めると即座に終点となります。なんだかとても面倒くさそうな話です。

最高レベルの医者の苦悩

 ガイドライン以外の治療ができる医者は、その治療をするときに患者を選びます。一方患者は、医者の指導を守れば病気は回復し、通院期間が短くなります。
 つまりその医者は少数精鋭の患者のみを減薬治療の対象とし、かつ治療期間も短期となるため経営が赤字になりやすいでしょう。最高レベルの医者は医療界で生き残ることは経済的に困難です。

逆コストを考える

 最高の医者に最高の減薬治療をしてもらうには、あなたがその医者の理解者であり支援者である必要があります。減薬を指導することで医者は法で守られなくなり、かつ経営が赤字になるからです。医者が減薬治療をする時、そうした不利な条件を医者が一人で抱えています。
 逆に言うと、減薬治療は人件費が莫大にかかっている治療であり、そのコストを患者のあなたが正当に支払っていないから存在できません。この逆コストを考えられる頭脳があなたに求められています。逆コストを患者たちが穴埋めできない限り、減薬治療をしようとする医者は生まれてこないでしょう。

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